光ディスクの計測例


  1. 測定原理
       光ディスクは,マルチメディアにおける記憶媒体として広く用いられています.ディスク基板に複屈折が存在すると,そこに書き込まれた信号の読取精度を低下させます.それ故,ディスクの複屈折の精密計測は,光記録の信頼性を向上させるために不可欠な技術となっています. ディスクの複屈折は,一般に基板中の高分子の配向方向及び,成形時に発生する内部応力によって決定されます.ディスクへの信号の書き込み,読み出しは,レンズを用いてレーザー光を信号ピットに集光させますから,複屈折は光がディスクに対して垂直に入射した状態での計測値だけでなく,斜めに入射した状態での複屈折量も重要になります.ディスクの複屈折の管理は,これら垂直入射・斜入射による複屈折測定値と,そこから計算して求める「屈折率楕円体」で行なわれます. 一方で,光ディスクは大容量化,高速化が要求されています.そのため,ディスクを高速回転させる方法が考案されています.ところが,ディスクを高速回転させると,回転によってディスク内部に応力が発生することが予想されます.この応力により複屈折が生じ,信号検出の精度を低下させる可能性が考えられます. ユニオプトの複屈折測定装置は,ディスクの複屈折を高精度に測定する[DRES-10A]と,高速回転による複屈折が計測できる超高速型[DRES-30]と2機種が用意されています.干渉計部は,それぞれ[ABR-10A] , [ABR-30]を用いております.どちらのモデルでも,斜入射光による複屈折計測が行え,屈折率楕円体を求めることが出来ます.


  2. 測定例
    • CD-R基板計測例
      cdr

      条件の異なる2枚のディスク(直径120 mm,厚さ1.1 mm)の計測例です.赤い線分の長さが複屈折の大きさ,線線分の向いている方向が複屈折主軸の方位を表しています.測定点は,線分の中央です.


    • DVD基板測定例
    dvd

    厚さ0.6 mmのDVDディスク基板3枚の計測例です.赤い線分の長さが複屈折の大きさ,線線分の向いている方向が複屈折主軸の方位を表しています.測定点は,線分の中央です.


    • MOディスク基板 高速回転時の計測例
mo

MOディスクの計測例です.静止状態(0 rpm)と回転状態(3000 rpm)とでは,複屈折の分布の様子が変化していることが分かります.赤い線分の長さが複屈折の大きさ,線分の向いている方向が複屈折主軸の方位を表しています.測定点は線分の中央です.